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3人の生者と3人の死者「ワーンクリフ時禱書」より

ワーンクリフは19世紀の持ち主、この挿絵が描かれた頃の持ち主は不明。リヨン図書館にある、1465年に制作と記された銘文がある時禱書と筆跡が同一で、挿絵・装飾の様式も同じため、ともに画家フランソワの工房で制作されたとされる。 月暦はアンジェ用で中心になる聖母の時禱はローマ用になっている。アンジュー家に関わる注文主のために、パリの工房で制作されたと考えられている。
右図は死者のための通夜の祈りに対する挿絵。主要画面は3人の生者と3人の死者の対話、有名な寓話のためいろいろなタイプの図像がある。ここでは鷹狩りに出かけた若者たちが、墓地でミイラ化した3人の死者に出会って驚いている場面。死者たちが静かに語りかけているのに対し、若者たちの驚きは、立ち上がった馬や倒れ込んだ馬などの動きとともに表されている。
この写本の縁飾りは伝統的な葉紋が使われているが、この場面では青地に枯れ木が描かれ、右中央には葬儀に参列して祈る黒装束の人が描かれている。枯れ木にはしっかりと影が描き込まれている。
下部には墓地での埋葬。左から施しをする人、埋葬に立ち会って祈る人、墓石に座り祈祷書を読む人が描かれている。生者たちが悔い改めてなすべき善行を示してる。

世界美術大全集10 ゴシック2 1470年代
3人の生者と3人の死者「ワーンクリフ時禱書」より
フランソワ親方
1475〜80年 写本装飾 17.8×12.7cm(ページ全体)
オーストラリア メルボルン ヴィクトリア国立絵画館